エックス線作業主任者と非破壊検査の親密な関係
エックス線には、モノを通り抜ける性質、モノにぶつかったら光を出す性質、モノに反射する性質などがあります。
このような性質を活かして、今やエックス線は、産業界にはなくてはならない存在になっています。
エックス線を使えば、モノを壊さずにその内部の状態を調べることができます。
このように、モノを壊さずに検査することを「非破壊検査」といいます。
非破壊検査には、エックス線だけでなく、磁粉、超音波、赤外線などが使われています。
非破壊検査って?
非破壊検査とは、モノを壊さないで検査する技術のことです。
なんだか難しそうと思われるかもしれませんが、普段の生活の中で私たちも非破壊検査を行っています。
たとえば、スイカを指ではじいて、コンコンと音がすればよい出来具合だとわかります。これも立派な非破壊検査です。
また鉄道業界では、私たちが乗る鉄道の車両部品をハンマーで叩いて、割れやネジのゆるみを点検します。これもちろん非破壊検査です。
でも、今は検出精度をよくするために、超音波が利用されています。
くらしの安全は非破壊検査のお陰
工業界の急成長とともに、業界内の競争も激しくなりました。良い品質のものをより早く、より安く作る必要が出てきたのです。
そのために不良材料の早期発見、不良の生じない加工方法など、メーカー自身が非破壊検査を必要とするようになりました。
日本の都市には高層ビルが、工業地域には巨大な工場がどんどん建てられました。高温、高速、高負荷と今の構造物は使用条件が厳しくなっています。内容物も腐食性、引火性、爆発性など危険がいっぱいです。
事故防止のために安全チェックが重要となってくるのは当然です。性能に悪い影響を及ぼす傷がないか、ユーザーサイドも重視しています。
非破壊検査が活躍することで、ハイクオリティなメイドインジャパンが確立されているのです。
より精度の高い検査のために
原子力圧力容器、ボイラ、球形タンク、パイプライン、航空機、鉄道車両、自動車、船舶、建築、ロケットなど、そのひとつひとつが非破壊検査を必要としています。
ひび割れひとつ見逃すことが許されません。
検査方法も益々精密さを必要とされるのは当然です。
ですから、検査方法の研究、開発も日々進められています。
医学検査と非破壊検査はソックリさん
医学界と非破壊検査業界は、切っても切り離せない関係で、とても似ている部分があります。
人間の場合、病院で産まれて検査を受けて、その後も病気の早期発見、早期治療、ずっと健康をチェックしますね。そして、その検査結果をカルテとして記録しておきます。
一方、プラントの球形タンクなどの施設は、完成のチェックの後、経年劣化などによる欠陥の有無をずっとチェックし続けます。そして、同じようにその結果を検査記録として残しておきます。
球形タンクにとって非破壊検査は、まさにドクターなのです。
また、非破壊検査では、医療診断と共通する方法を用いて検査しています。
X線撮影(放射線透過検査)
体の見えないところが撮影できるX線で、胸部のレントゲン写真などを撮影します。
非破壊検査としてはすべてのモノの投影に適用されます。
X線CT
脳の断面を細かく撮影、診断できるのがX線CTで、脳疾患の発見には欠かせません。
非破壊検査としては、新素材、コンクリート、セラミックス、美術品の鑑定、立木の年齢の検出などに適用されます。
超音波診断装置(超音波探傷検査)
妊婦の腹部に置くだけで、胎児の様子を見ることができます。
非破壊検査としては、機械部品や溶接部の検査に適用されます。
非破壊検査の分類と内容
非破壊検査の分類と内容に少し触れてみましょう。
表面欠陥検出のための非破壊検査
目視検査(肉眼・外観)
表面の状態や傷を早く簡単に調べることができます。材料、機器、構造物などすべてに適用されます。
磁粉探傷検査
表面又は表面直下の傷を検出できます。磁石に吸引される強磁性材料だけに適用されます。
浸透探傷検査
目に見えない表面の傷を簡単な操作で検出できます。金属でも非金属でも適用されます。
渦流探傷検査
渦電流を利用して小さなパイプなどの傷の検出、材質判別に用います。金属など導電性の材料に適用されます。
内部欠陥検出のための非破壊検査
放射線透過検査
X線やガンマ線を利用して、目に見えない内部の傷を検出できます。金属材料、溶接部、鋳物、非金属材料に適用されます。
超音波探傷検査
超音波の反射を利用して内部の傷が検出できます。金属材料、溶接部、非金属材料に適用されます。
超音波厚さ測定
材料の片面に探触子を接触させるだけで厚さが測定できます。金属及び非金属材料の素材、機器、構造物に適用されます。
その他の非破壊検査
ひずみ測定
構造物の表面のひずみが測定できます。主として金属で作られた構造物に適用されます。
AE検査
AE(アコースティック・エミッション)波による音響を利用して構造物の健全性診断ができます。各種材料、構造物(地上、地下、海洋)の地滑り等に適用されます。
赤外線検査
赤外線を利用して表面温度分布の測定ができます。
最後に
地震や台風など自然災害が多い日本列島。だからこそ建築、身近なものの安全性が再度問われています。
これからも非破壊検査業界の需要は伸びていくでしょう。非破壊検査を行うならエックス線作業主任者の免許は必須です。
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